ガネーシャとカールッティケーヤ

 シヴァとパールヴァティーには2人の息子がいた。ガネーシャとカールッティケーヤである。カールッティケーヤはハンサムで、武芸に秀で、軍隊の将軍を務めていたが、自分勝手なところがあり、古風だった。一方、ガネーシャは象頭に太鼓腹という醜い姿だったが、音楽や舞踊などの芸術の才能に溢れ、正しい知恵を身に付けていた。

 2人の息子が成長するに従い、母親のパールヴァティーにはひとつの心配事ができた。2人の息子の内、どちらを先に結婚させたらいいか、という問題である。シヴァに相談してみると、「結婚するにはまだ早い。結婚する前に2人には世界中の聖地を旅させて多くの経験と功徳を積ませるべきだ」という意見だった。シヴァとパールヴァティーは議論を重ねた結果、2人の息子に旅をさせて、いち早く世界中の聖地を巡ってきた者を最初に結婚させることに決めた。

 両親からその提案を聞いたカールッティケーヤは、クジャクに乗ってすぐに旅に出た。カールッティケーヤは美しい森や高い山を駆け巡り、多くの人々に出会い、楽しみや悲しみを分け合った。一方、ガネーシャの乗り物はネズミであり、普通に世界旅行をしたのではとてつもなく長い時間がかかってしまう。ガネーシャは考えた。

 ガネーシャはシヴァとパールヴァティーに近付くと、恭しくお辞儀をして両親の足に触れ、マントラを唱えながら彼らの周りを周り始めた。シヴァとパールヴァティーはガネーシャの突然の行動に驚き、早く旅行へ出掛けるように促した。ところがガネーシャは両親に対する祭儀を続け、7回周り終わった後で両親に言った。「私の世界旅行は完了しました。父よ、ヴェーダの知識はあなたの舌にあり、あなたの身体は世界中の聖地を表しています。母よ、あなたはシャクティ(力)そのものであり、宇宙のエネルギーを体現しています。自分の両親の周りを廻ること以上に尊いことはありません。私はこれからもあなたたちと共に留まり、親孝行したく思っております。」ガネーシャの知恵と献身に感動したシヴァとパールヴァティーは、ガネーシャを先に結婚させることに決めた。

 ヒマーラヤの王ヴィシュヴァルーパ・プラージャパティーにはスィッディーとブッディーという2人の美しく賢い娘がいた。彼はガネーシャが嫁を探していることを聞き、自分の娘を見合いをさせた。ガネーシャとスィッディー・ブッディーの相性は合致し結婚することになった。結婚式には全ての神々、半神、聖仙たちが出席し、新郎新婦を讃えた。間もなく2人の妻には子供が生まれた。一人はラーブ。富を象徴する者となった。もう一人はクシェーマ。富の守護者となった。

 カールッティケーヤが旅行から帰ってきたとき、初めてガネーシャの奇策によって自分が負けたことを知り怒り狂った。カールッティケーヤは一生独身で貫くことを決意し、クラウンチャ山に引きこもってしまった。

△▽△▽ 考察 ▽△▽△

◆一般にはガネーシャが兄で、カールッティケーヤが弟ということになっている。

△▽△▽ 関連名 ▽△▽△