ありがたやガネーシャ話

 昔あるところにカエルの夫婦がいた。妻カエルはガネーシャの熱心な信者だったが、夫カエルはいつも妻に「そんな神を信仰するより自分の夫を敬うべきだ」と叱っていた。ところが妻カエルはガネーシャへの信仰を止めようとはしなかった。

 ある日、王がカエルたちの住む池に訪れ、料理のために使う水を壺で池からすくった。運悪くカエルの夫婦はその壺の中に入ってしまった。壺は火にかけられ、カエルたちは茹で死にそうになった。そこで夫カエルは妻カエルにガネーシャへ助けを求めるよう頼んだ。妻カエルは夫カエルが日頃ガネーシャへの信仰を止めさせようとしていたことをなじった。夫カエルは謝り、妻カエルにガネーシャに祈るように懇願した。そこで妻カエルがガネーシャの名前を唱えると、たちまち二匹の雄牛が喧嘩を始め、カエルたちの入った壺をひっくり返してくれた。こうしてカエル夫婦はガネーシャのおかげで命を救われたのだった。


 昔ある村でガネーシャ神を祀る小さな祭りがあった。ガネーシャの寺院は村の外れにあった。その村のある家に住む少女は、ガネーシャへ供え物を早く供えに行きたかった。なぜなら友達はもう既にガネーシャへのプージャーを済ませてしまっていたからだ。少女は母親に自分をガネーシャー・プージャーに行かせてくれるように頼んだ。母親は少女に二つのラッドゥー(お菓子)を渡し、「いいかい、ひとつはガネーシャ様に食べさせるのよ。その後、残りのひとつはお前がお食べ」と言った。

 少女は真っ直ぐガネーシャの寺院へ行った。そしてガネーシャの偶像の前にラッドゥーを置き、ガネーシャがそれを食べるまでじっと待っていた。何時間も何時間も経ち、辺りはすっかり暗くなってしまった。とうとうガネーシャはその少女の熱意に負け、少女の前に現れた。少女はガネーシャにラッドゥーを食べさせた。ガネーシャは去ろうとしたが、少女はガネーシャの片手をつかんで離そうとしなかった。そこでガネーシャは「何でも願い事を叶えてあげるから離しておくれ」と頼んだ。少女は言い伝えにある願い事を思い出して言った。「豪華な宮殿で私の孫が金の皿で食事をしているのを見れますように。そのとき私は7人の息子と7人の義理の娘に囲まれ、夫と共に孫たちが遊び回っている様子を見れますように」。果たして、その願い事は現実となった。


 あるところに金持ちな夫婦と貧乏な夫婦が隣接して住んでいた。貧乏な夫婦はガネーシャを信仰しており、ゴマと砂糖でガネーシャのプージャーを行っていた。ある真夜中、夫婦は見知らぬ声によって目が覚めた。「私はお前たちの信仰心に満足した。」夫婦が誰か尋ねると「私はガネーシャである」と語った。しかし夫婦はその声が泥棒のものだと疑った。妻は何が望みか質問した。その声は答えた。「トイレに行きたいのだが・・・」そこで夫婦は隅で用を足すように指示した。次の朝、夫婦が目を覚ましてみると、部屋の隅に黄金の山が出来ているのに気付いた。そして昨晩の出来事を思い出し、神様をいい加減に扱ってしまったことを後悔した。

 貧乏な夫婦が一晩で金持ちになったことに驚いた隣の金持ち夫婦は、その理由を尋ねた。彼らは自分たちの身に起こった出来事を事細かに教えた。金持ち夫婦は貧乏夫婦と同じことを行った。すると真夜中ガネーシャが2人の前に現れた。そして同じようにトイレに行きたいと言った。金持ち夫婦は部屋の隅で用を足すように促した。次の朝、金持ち夫婦の部屋は大量の汚物で埋まっており、ひどい悪臭で満ちていた。


 

△▽△▽ 考察 ▽△▽△

△▽△▽ 関連名 ▽△▽△