ニーラカンタ

 昔々、不死の霊薬アムリタを得るため、ヴィシュヌの助言に従って神々と悪魔たちが協力して海をかきまぜたことがあった。俗に言う乳海攪拌である。アムリタは神々と悪魔で平等に分配されることになっていた。マンダラ山を軸にし、大蛇ヴァースキ(シェーシャ)を山に巻いて、一端を神々が、一端を悪魔たちが交互に引っ張り合い、海をかき混ぜた。そのときヴァースキは耐えられなくなり、口から世界を焼き尽くす猛毒ハラーハラ(カラーカラ)を吐き出した。シヴァはその毒は世界に広がらない内に全て飲み干した。毒はシヴァの喉に入ったが、その瞬間、妻のパールヴァティーがシヴァの首を絞めたので、毒はシヴァの身体に入らず喉で止まった。そしてシヴァの喉は毒のせいで青くなってしまった。そのためシヴァはニーラカンタ(青い喉)と呼ばれるようになった。

 乳海攪拌の結果、海から多くの財宝が生じた。インドラはアイラーヴァタ象を、ヴィシュヌはラクシュミーや宝珠カシュヤパを、その他の神々も多くの財宝を手にした。最後に不死の霊薬アムリタが出現すると、神々と悪魔の間で奪い合いの争いが起こった。一度は悪魔の手に渡るが、ヴィシュヌがモーヒニーという美女に化身して悪魔たちを誘惑し、アムリタを奪い返して神々に分配した。こうして神々は不死の身体を得ることに成功した。

△▽△▽ 考察 ▽△▽△

◆アムリタやその他の財宝が現れたことで自己中心的となった神々や悪魔たちの中で、一人シヴァだけは自分を犠牲にして世界を救った。それがシヴァのすごさであり、人気の要因だろう。

△▽△▽ 関連名 ▽△▽△

 ニーラカンタ(青い喉)niilakanTha