◆ドローナ◆
 ガンジス河のほとりにバラドヴァージャというバラモンが住んでいた。バラドヴァージャはある日ガンジス河に水浴に行くと、天女が水浴しているのが見えた。その裸身を見たバラドヴァージャは木の器の中に精子をたらしてしまい、その器の中から生まれたのがドローナである。

 ドローナはパンチャーラ国の王子ドルパダと共に、アグニヴェーシャという隠者のもとで武術を習っていた。ドローナとドルパダは無二に親友となり、ドルパダは「私が王になったら、君に王国の半分をあげよう」と約束していた。やがてドルパダはパンチャーラ国王となり、ドローナも結婚してアシュヴァッターマンという息子を得た。

 ドローナはパラシュラーマから弓術の奥義を授かり弓の達人となったが、非常に貧乏であった。そこでドローナはかつての親友であったドルパダ王のもとを訪れた。ところがドルパダ王はドローナを友人とは認めず、王宮から追い出した。ドローナは復讐を誓い、クル族の都ハスティナープラへ行って、パーンダヴァの5王子やカウラヴァの100王子たちの弓の師匠となった。

 ドローナは王子たちの教育が終わると、彼らに「ドルパダ王を捕えて連れて来るように」と命じた。まずはドゥリヨーダナとその親友カルナがパンチャーラ国に向かい、ドルパダ王と戦ったが、敗れてしまった。そこで今度はアルジュナが行き、ドルパダの軍勢を破ってドルパダを捕えてドローナのもとへ連れ帰った。ドルパダは自分の非礼を謝罪したため、ドローナはドルパダ王を許し、パンチャーラ国の南半分を手に入れた。