◆カルナ◆
 パーンダヴァのユディシュティラ、ビーマ、アルジュナの母であるクンティーは、クリシュナの祖父シューラの娘として生まれ、シューラの従弟クンティボージャの養女となった。クンティボージャの宮殿に聖者ドゥルヴァーサスが訪れたことがあり、信心深いクンティーはドゥルヴァーサスによく仕えたために気に入られ、子供を授かるマントラを授けられた。

 クンティーは好奇心旺盛な少女であり、早速そのマントラを唱えてみたくなった。そこで太陽を念じてマントラを唱えると、太陽神スーリヤが現れ、クンティーを身篭らせた。こうして生まれたのがカルナである。よって、カルナとユディシュティラ、ビーマ、アルジュナは兄弟ということになる。カルナは生まれつき甲冑と耳輪を身につけ、太陽のように輝いていたが、まだ幼い少女だったクンティーはカルナを箱の中に入れ、河に流してしまった。カルナは子供のいない御者の夫婦に拾われ育てられた。

 カルナはドローナから武術を習った。また、パラシュラーマのもとで身分を偽って武術を習い、ブラフマーストラという必殺技を授かったが、嘘がばれてその必殺技はかんじんなときに役立たずになってしまうという呪いを受けた。インドラ神に生まれながらにして身に付けていた甲冑と耳輪を布施し、代わりにどんな敵でも殺せるが1回しか仕えない武器シャクティを授かったこともあった。カルナはアルジュナに対して激しい敵対心を燃やしており、カウラヴァのドゥリヨーダナとは親友となった。また、母クンティーとは「パーンダヴァの5王子の中でアルジュナしか殺さない」という約束も交わした。

 クルクシェートラの戦争が始まると、カルナはクル軍に味方したが、クル軍の総司令官ビーシュマとは仲が悪く、「ビーシュマが戦っている間は戦いに参加しない」と誓っていた。