◆ジャヤドラタ◆
 シンドゥ国の王で、クル族のドリタラーシュトラ王の娘ドゥフシャラーの夫。ジャヤドラタが生まれたとき、どこからともなく声がして、こんな予言をしたという。

「この王子は大いなる名誉を得るだろう。戦いに死して天国へ昇るだろう。老若すべての戦士の中で最も名高く最も優れた人物が、戦場においてこの王子の首を身体から切り離すだろう。」

 しかしジャヤドラタの父は息子が戦死することを知って悲しみ、「息子の首を地上に落とす者はその首を粉々に砕かれるだろう。」と呪いをかけた。

 ジャヤドラタはパンチャーラ国で行われたドウラパディー姫の夫選びの会にも出席しており、ドウラパディーに思いを寄せていた。この会でドウラパディーを得たのはパーンダヴァの5王子の一人であるアルジュナであり、このときからパーンダヴァの5王子に恨みを抱いていた。

 ユディシュティラがシャクニとのサイコロ賭博に負けて、パーンダヴァの5王子とその妻ドウラパディーが森で隠棲生活を送っていたときのことである。5王子は森の中の小屋にドウラパディーを残して狩りに出掛けたことがあった。その隙にジャヤドラタは小屋に赴いてドウラパディーに迫ったが拒否され、力づくで連れ帰ろうとした。そこへ戻って来た5王子がジャヤドラタを捕らえ、ビーマはジャヤドラタの頭髪を5本だけ残して剃り上げてしまった。ジャヤドラタはますますパーンダヴァの5王子に対して恨みをつのらすこととなった。