◆カルナの最期◆
 カルナとアルジュナはドローナのもとで武術を習っていたときからのライバルだった。ドローナのもとでの武術の訓練が終わったとき、その学習の成果を発表する会が催されたときがあった。アルジュナは超人的な技を示して居合わせた人々をどよめかせたが、カルナはアルジュナ以上の技を見せ、アルジュナを青ざめさせたこともあった。

 ところがカルナは、ドローナのもとで修行をしていた頃、誤ってバラモンの持ち物である牛を弓で射て殺してしまったことがあった。バラモンは怒り、カルナに「汝は敵と対峙するとき、汝の戦車の輪は土の中に沈みこみ、汝は敵に首を切られるであろう。」という呪いをかけられたことがあった。

 また、カルナはパラシュラーマの弟子となっていたことがあった。パラシュラーマはクシャトリヤ(武士階級)を激しく憎んでいたため、カルナは自分の身分をバラモンだと偽って弟子となった。カルナはパラシュラーマよりブラフマーストラという最強の武器を扱うマントラを教わった。ところがパラシュラーマに身分を偽っていたことがばれてしまい、「お前が習得したブラフマーストラは、決定的な瞬間に役立たずになってしまうだろう。お前の最期が近づいたとき、お前はそのマントラを思い出せなくなってしまうだろう。」と呪いをかけられた。

 これらの呪いがアルジュナとの決戦のときに実現してしまったのである。カルナはアルジュナに向かって蛇の矢を射掛け、アルジュナの帽子を射抜いたが、その瞬間カルナの戦車の車輪が土に沈み込んで動かなくなってしまった。アルジュナは不意の故障でとまどっているカルナを攻撃することをためらったが、クリシュナは攻撃することを促した。カルナは必死でブラフマーストラのマントラを思い起こそうとしたが、どうしても思い出せなかった。アルジュナは遂に決意し、カルナに向かって一本の矢を放ち、カルナの首を射落とした。