Holy India Empire
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  ガルーダの話を聞く Vishnu City




ガルーダ




 ヴィシュヌ様との出会いは今でもはっきり覚えてるぜ!
 
アムリタを奪うガルーダ
 昔、乳海攪拌っていう大きな行事があったんだ。もう知ってるかもしれないけど、神様と悪魔が力を合わせて海をかき回したのさ。そのとき海の中からいろんなものが出てきたんだけど、その中にアムリタっていう聖水と、ウッチャイヒシュラヴァっていう馬がいたんだ。馬の名前は舌噛みそうな名前だから覚えなくてもいいぜ。こういう馬がいたってことを頭に置いといてくれ。そうそう、実はこの乳海攪拌のときにヴィシュヌ様の奥さんのラクシュミー様も出てきたんだぜ。

 話は変わって、またあるところにカドゥルーとヴィナターという姉妹がいたんだ。この二人はそろってカシュヤパっていう仙人と結婚したんだ。ヘヘッ、実はそのヴィナターってのがオレのおふくろなのさ。つまりカシュヤパってのはオレの親父。オレはおふくろのお腹から卵の姿で生まれたんだ。一方のカドゥルーの子供には千匹のヘビがいたんだ。

 で、まだオレが卵だった頃、そのカドゥルーとおふくろがある日そのウッチャイヒシュラヴァの身体の色について口論したんだ。ヴィナターは馬は全身白色であると言うのに対して、おふくろはその馬は尻尾だけ黒いと言い張ってたんだ。二人は、負けた方が勝った方の奴隷になるという条件で賭けをして、その翌日に馬を実際に見に行くことにしたんだ。でもカドゥルーは実はウッチャイヒシュラヴァの身体は全身真っ白だってことを知ってた。これはオレのおふくろを罠にはめるための策略だったんだよ。カドゥルーは予め自分の息子である千匹のヘビに、ウッチャイヒシュラヴァの尻尾の中にもぐりこむように命令してたんだ。そのヘビの身体は黒かったから、ウッチャイヒシュラヴァの尻尾は黒く見えた。だからオレのおふくろのヴィナターは賭けに負けて、約束通りカドゥルーの奴隷になってしまったんだ。

 その頃、卵の中からオレは生まれたんだ。オレは一目散におふくろの元に飛んでいったんだけど、自分のおふくろが奴隷になっているのには驚いたぜ。最初の内は奴隷になったおふくろの手伝いをしてたんだけど、だんだんその境遇に我慢できなくなってきて、ある日千匹のヘビたちにどうしたら解放してくれるのか尋ねたんだ。そしたらヘビたちはアムリタを奪ってくれば自由の身にしてやるって言ってくれたんだ。

 乳海攪拌で出てきた聖水アムリタはそのとき神様の国にある天の山に保管されていたんだ。アムリタを飲むと不死身になれるって言われてて、悪魔に奪われないようにしてたんだな。でも、オレは何としてもおふくろを自由にしてやりたかった。だから何としてもアムリタを手に入れなくちゃならなかったんだ。オレはおふくろに別れを告げてアムリタを手に入れるために天の山に向かった。神様たちはオレがアムリタを奪いに来るってことを知って守りを固めたけど、オレは自慢の翼で砂嵐を巻き起こして神様たちを蹴散らしたんだ。

 いよいよアムリタの貯蔵庫に侵入したんだけど、そこには神様たちが仕掛けた罠があった。まず、その山の周りは天まで届くような炎に囲まれていたんだ。でも、オレは河の水を口いっぱいにためてその炎に吹きかけて消したんだ。次に、鋭い鉄の円盤が回転していてアムリタを奪いに来た者を切り裂くようにしてあったんだ。でも、オレは身体を小さくして難なく円盤をすり抜けて奥に進んでいった。すると、今度は二匹の大蛇がアムリタを守ってたんだ。その大蛇に見られたら誰でも灰になってしまうという怖い奴らだったけど、オレは奴らの眼に砂埃をかけて目を見えなくして、とうとうアムリタの入った壺を手に入れたんだ!

 こうなりゃもう天界には用はない。オレは一目散におふくろの元に帰ろうとしたんだ。そこへ現れたのがヴィシュヌ様だったんだ。でもヴィシュヌ様はオレと戦おうとせずにオレの見事な働きぶりを褒めてくれて、「何でも願いを叶えてやる」と言い出したんだ。オレは迷わず「不老不死にしてくれ」って頼んだら、ヴィシュヌ様はその通りにしてくださったんだ。そこでオレもヴィシュヌ様に「お返しに何でも願いを叶えましょう」と言ったら、ヴィシュヌ様は「私の乗り物になってくれ」と言ったんだ。オレは快諾した。こういう訳でオレはヴィシュヌ様の乗り物になったのさ。

 こうやってオレとヴィシュヌ様が話しているところに、インドラっていう神々の王って言われてる神様がやって来たんだ。インドラはオレにヴァジュラっていう武器を投げつけてきたけど、オレには全く効果なかったんだ。するとインドラは「私と友達になってくれ」って言い出すから笑っちまうね。ま、でもオレはインドラとも友達になったってわけさ。インドラはオレに「アムリタが誰かの手に渡ったら私たちは負けてしまうから返してくれないか?」って頼んで来たんだ。オレはもう不死身になったことだし、アムリタはおふくろさえ助かれば必要なかったから、オレはインドラに事情を説明して、オレがヘビたちの前にアムリタを置いたら、すぐに奪って持ち帰ればいいって言った。インドラは「そうしよう」と言った後、「何でも望みを叶えてやる」って言った。オレはおふくろを詐欺によって奴隷にしたヘビたちが許せなかったから、「オレの常食をヘビにしてくれ」って頼んだ。インドラは承知してくれて、それから一緒にヘビたちの元へ向かったんだ。

 オレはヘビたちのところに着くとヘビたちに言ったんだ。「お〜い、アムリタを持ってきたぞ!ここに置いておくから、沐浴してから飲んだぞ!それと約束は果たしたんだから、オレのおふくろはこれから自由の身だぞ!」ヘビたちは承諾して沐浴しに行ったんだ。その隙にインドラはアムリタを奪って天界に持ち帰ってしまったんだ。おかげでオレは今、おふくろといっしょに幸せに暮らしてるぜ。ヴィシュヌ様の乗り物もやってるしな!

 え、その後ヘビたちはどうなったかって?ハハハ、ヘビたちは沐浴した後、アムリタの置いてあったところに戻ったんだけど、そこには何もなくて、かなりがっかりしてたよ。でさ、アムリタが置いてあった草の上をペロペロ舐め回したんだ。あまりにペロペロ舐めるもんだから、ヘビの舌は二股に分かれてしまったのさ!

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