Holy India Empire
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  ヴァーマナと話す Vishnu City




ヴァーマナ




 ふっふっふ、聞いて驚くな、オイラはこの世界を二度も救った英雄なんだぜ。オイラは見かけが小さいから、それで悪魔たちを油断させて一気に本領を発揮するっていう必殺技があるんだ。さぁ、オイラの活躍を聞いてってくれよ。
 
バリを退治するヴァーマナ
 昔、バリという悪魔が力をつけて、天界、地上、地底界の三界を支配してしまったことがあったんだ。そこでこの事態を何とかするために、ヴィシュヌ様が動き出したって訳さ。
 ヴィシュヌ様は小人の姿となって地上に降り立ったんだ。これがオイラさ。オイラは早速バリのところへ行ったんだ。バリは世にも稀な小人が自分のところへ来たのを喜んで、オイラを歓迎してくれたんだ。そして何でも望みのものを与えると約束したんだ。

 するとオイラは、「自分が三歩で歩けるだけの土地を下さい。」と申し出た。バリはオイラの願いがあまりにも些細なものだったから、「大陸でも何でも与えるぞ」って言ったんだけど、オイラは「三歩だけの土地でいい」って言い張ったんだ。とうとうバリもオイラの願いを聞き入れて、オイラが三歩で歩けるだけの土地を与えることを承諾したんだ。

 その瞬間、オイラは三界に渡るとてつもない巨大な姿になって、一歩目で全地上を踏んで、二歩目で天界全体を踏みしめたんだ。

 悪魔たちは、「この詐欺師め!」と怒って、オイラを攻撃しようとしたけど、バリは止めたんだ。バリって奴は、悪魔のくせに信心深い奴でな、一度約束したことは必ず守る奴だったんだ。そしてオイラに約束通り天界と地上を与えてくれたんだ。

 ところが、オイラはまだ二歩しか歩いてなかった。そこでバリに「三歩目はどこに置いたらいいのか?」って聞いてみたんだ。すると、バリは「私の頭の上に置いて下さい」って言った。でも、オイラはバリが信義を重んずる立派な奴だと感心してたし、バリの妻が現れて命乞いをしたもんだから、バリを助けてやったんだ。それ以後、バリは地底界に住むようになったって訳さ。
ドゥンドゥを退治するヴァーマナ
 昔、ドゥンドゥという悪魔がいた。ドゥンドゥは厳しい苦行を行って、「インドラやその他の神々によって決して殺されることがないように」とブラフマー様に祈った。ブラフマー様はドゥンドゥの熱心さに心を動かされて、この望みを叶えてやってしまったんだ。

 すると不死身の身体を得たドゥンドゥは天界に攻め入って、神々の王インドラを打ち破って悪魔の王国を打ち立てたんだ。神々は天界から逃げ出して、ヴィシュヌ様に助けを求めた。

 ヴィシュヌ様はみんなを救うために、小人の姿となって地上に降り立った。もちろんこれがオイラだぜ。そしてデーヴィカージャラという河に飛び込んで、ぷかぷかと浮いていたんだ。

 すると、ドゥンドゥがたまたまオイラを見つけて、「いったいどうして水に落ちて浮かんでいたんだ?」と尋ねてきたんだ。オイラはその理由をこう語った。

「私はプラバーサというバラモンの、2人の息子の内の弟の方です。1年前父が亡くなってしまい、兄と財産を分配することになりましたが、不法にも兄が財産を独り占めしようとしたのです。私が兄に抗議しますと、兄は怒って私の髪の毛をつかんで水の中に投げ込んでしまいました。私は泳げないので、一年間水に浮いたり沈んだりしていました。そこをあなたに助けられたのです。」

 オイラの話を聞くと、ドゥンドゥはオイラに同情してくれて、オイラに財産や召使いを与えようとしてくれたんだ。オイラはそれを断って、「私は財産も何も要りません。ただ三歩で歩けるだけの場所をいただければ十分です。」って言ったんだ。ドゥンドゥはそれを承知した。その途端、オイラは月のように大きくなって、最初の二歩で全世界を踏みしめたんだ。そして三歩目でドゥンドゥの頭を踏んで、殺してしまったんだ。こうして、神々は元通り天界に住めるようになったんだ。

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