なんだなんだ、俺様のこと全然知らねぇのか？イチオー世界を救ってやったんだぞ！まぁいいや、俺様がいかにすごいか、教えてやろう。

■大地を持ち上げるヴァラーハ■

昔、ヒラニヤークシャという悪魔がいたんだ。ヒラニヤークシャが生まれるとすぐに世界は暗闇に包まれて、不吉な前兆があちこちで起こり始めた。神様たちも恐れおののいてたんだ。ヒラニヤークシャは成長すると神々と争い始め、とうとう大地を手でつかみ上げて水の中に放り込んぢまったんだ。それ以後、大地は長い間水の底にあったのさ。 　ブラフマー様の息子のマヌは、ブラフマー様に何とかしてくれと頼んだんだが、いい考えが浮かばなかった。そこで２人はヴィシュヌ様に祈りを捧げて助けを求めたんだ。すると、なんとブラフマー様の鼻の穴から小さい猪が飛び出てきた。これが俺様、ヴァラーハって訳さ。ヴィシュヌ様が俺様に化身して、世界を救いに現れたんだ。 　俺様は生まれ出るとすぐに象のような大きさとなり、最後には山のような大きさになった。そして雄叫びをあげるとすぐに水中に飛び込んで、沈んでいた大地を探し出して、牙の上に乗っけて水の上まで持ち上げたんだ。すごい力だろ？ 　ところがそれを見ていたヒラニヤークシャは俺様の邪魔をして来やがった。俺様は棍棒でヒラニヤークシャをぶったたいて殺し、大地を水上に固定したのさ。なかなかの働きだろ？